※え〜、ひじょーに途中から始まっておりますが、それまでのシーンは、寛大なお心にてどうかご想像ください(なぬ。
「志紀。帰るぞ」
そのとき、一触即発の状態にあった志紀と白銀たちの間に割って入ってきたのは、一人の背の高い男だった。
「澤・・・木?なんでこんなトコに」
思いがけない同僚の登場に、志紀はどこか責めるような目で澤木を見た。
「お前がいかにもやられそうな勢いだったからな。見かねて出てきただけだ」
「そういうこと訊いてんじゃないだろ!なんでここに俺がいるって知ってんだよ!?」
怒りをあらわにする志紀に、澤木はかすかな溜息をもって応えた。自分としては、タイミングを見計らって入ってきたつもりでいたが、どうやら志紀はお気に召さなかったらしい。
「志紀・・・そんなことより―」
目の前に敵がいることを、忘れたわけではあるまいな、そうたしなめようとしたとき、まさのその敵が、親切にも澤木に声をかけてきた。
「随分とお久しぶりですね、澤木さん・・・・今更よくも、おめおめと私達の前に姿をあらわせたものだ」
皮肉めいた口調で話しかけてきたのは、白銀だった。澤木は、彼に向き直ると、
「久しぶりだな、白銀。お楽しみのところを悪いが、これでも彼は私の同胞だ。それに、これ以上焔緋の“子”の数を減らされたのでは、私の負担が増えて困るのでね」
「えっ?知り合い?」
思いがけぬ二人のやりとりに、志紀と昶は、同時に驚いてそれぞれ澤木と白銀に目をやった。驚くほどの鋭い形相がそこにはある。睨まれた主は、よほどに恨まれているに違いない・・・が、当人はそのねめつけるような形相をものともせず、すました顔で応えた。
「ほう。久々に会ってみれば、随分と印象が変わっているな、白銀。新手の商売でも始めたか?」
皮肉めいたその口調は、白銀に劣らないものだった。負けじと言わんばかりに、白銀の笑顔もよりいっそう深くなる。
「よくそれだけ余裕でいられますね・・・ご自分がどのような状況いるのか、お分かりですか?」
すると澤木は、軽く空笑いをして白銀をたしなめた。
「戦う気か?だが、私は戦いに来たわけではないのでね。残念だが、誘いに応じるつもりはない」
「相変わらず変わっていませんね、あなたも。それでよくあの焔緋のもとでやっていられるものだ」
どうとでも言うがいい、といわんばかりに、澤木は大袈裟に肩をすくめて見せた。白銀とは話にならないとでも思ったのか、彼の傍らにたたずむ黒髪の少年――昶に興味深そうに目をやる。
「ほう。そちらが噂の劉黒の生まれ変わりか。確かに、面影がある」
「え?」
いきなり自分の話をされ、昶は驚いた顔で澤木を見つめた。しかし、澤木が劉黒の名前を出した途端、白銀と――そして洸の、態度が硬化したのは明らかだった。
「しかし残念だな。まだ覚醒していないと見える。記憶も戻っていないようだ。あんなに慕っていたというのに、覚えていてもらえないとは残念だな、洸」
問い掛ける目は、いかにも挑発的だった。それが相手の思う壺だとは分かりながら、洸は逆上せずにいられない。
「テメェが劉黒の名前を出してんじゃねぇよッ!このっ・・・・」
「――洸。」
今にも澤木に飛び掛らんばかりの勢いの洸を、白銀がかろうじて制した。
「ふっ、そうだったな。これは失礼した」
そのとき、澤木は、自分のコートの裾がきつく握り締められていることに気づいた。傍らに目をやると、事の成り行きを見ていたはずの志紀が、どこか怯えた形相で、澤木に必死に何かを訴えかけている。
その様子から、澤木は引き際を悟ったようだった。
「・・・どうやら、話が過ぎたようだな。戻るぞ、志紀」
パチンッ
澤木が指を鳴らすと、何もないはずの空間に扉があらわれ、二人の姿はその中に消えていった。
「こっ、洸兄・・・どうしたんだよ。急にすごい剣幕で・・・」
いつもの洸兄らしくない・・・ただならぬ怒声を浴びせた彼に、昶はどこか攻め立てるような声で問い掛けた。
非難を受け、洸は少し気まずそうに頭を掻きながら答えた。
「いやぁ、ごめんごめん。彼とは、過去に色々あってね」
「いろいろ?」
白銀が、何を思い出したのか、どこか深刻そうな顔をして俯いた。
「なあ。澤木って、あいつらの知り合いか何か?さっきのあいつの怒り方だって尋常じゃないし、それに白銀ってやつだって、澤木のこと知っている風だったし」
志紀に問い掛けられ、澤木は、ふと思い出したような顔をした。
「そういえば、いつか話すと言っていたな。いいだろう。志紀には教えてやろう。遠い昔の話を。まだ私が、焔緋の“子”でなかったときの話だ」
「焔緋様の、“子”じゃない、澤木・・・?」
「そうだ、あれは確か・・・」
思い出を蘇らせる澤木の表情は、心なしか、少し綻んでいるように志紀にはうつった。
〜とりあえずの、あとがき。〜
・・・・というわけで。モノクロです。
違うジャンルに本格挑戦するのは、ゲドバ以来ほとんど初めてかもしれません。
しかも、よくも知らぬままに(え)過去編なんか始めちゃったり。。。
まぁ、もろもろの弁明;;(セリフが一部被っちゃってるとか。。。)はまた、書き終わったあとにでも、改めていたしますとして;
何だか、妙に変なところからスタートしちゃってるんですが。
ん?いきなり途中から?みたいな。
まぁ、実際に、連載の途中に割り込んだような話をイメージして創っているので、そんな感じで読んでいただけると、非常にありがたいです。
わたくし、戦闘シーンは苦手でございます;
なので、それまで志紀と白銀たちの間にどんないざこざがあったのかは、ご想像にお任せ、ということで。
っというか、志紀は一人で挑もうとしたのなら、かなり無謀だよな・・・・と、思わなくもない。。。
では、とりあえず今回は、こんな感じで。
よろしければ、引き続きお付き合いください。
慧仲茜♪
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