愛している、と。
7番目の死神は真面目な顔をして、突然そんな言葉を地上の天使に告げた。
あまりのことに驚いたテイトは、動揺して逃げようとしたが、フラウはそれを許さなかった。
壁に手をついて、即席の檻に閉じ込める。やがて観念したのか、テイトはゆっくりと顔をあげた。
紫水晶の瞳と、翡翠の瞳が、交差する。
「………フラウ。俺…」
サクランボのような唇が、そっと囁いた。


「愛という神聖な言葉を軽々しく連呼する人間は全員硫酸浴びて溶けろって常日頃思っている」
「たった今真剣に告白した俺に対する答えがそれか、冗談抜きに出家を考えちまうぞチクショーが」


「っていうか、お前既に(一応)司教じゃん」
「おぉ。そういや、そうだったな……って、話が違うだろっ」
「あ、もう時間だ。フラウ、俺もう行くから」
じゃあな、といつの間にかフラウの拘束から抜け出たテイトは、手を振ってにこやかに窓から降りて(注・ここは3階)石畳を駆けていった。
残されたフラウは呆然としながらも、そういやそろそろラブのお茶会の時間か、と思考の片隅で思う。
「……ってか、俺も呼ばれてんだがなぁ」
そしてそれをテイトも知っているはずなのだが…。

告白を冗談?と取られたことと、一緒に行くどころかそれを忘れられていたこと。どちらがよりショックだったのか。
けど結局はフラウのこと。考えていても仕方がないので、とりあえず庭園に行くか、とゆっくりと歩き始めた。

その後、喪服の司教候補生の少年を何かと一生懸命口説く司教の青年と、それを時折邪魔をする数人と、応援するシスターたちの姿が、教会内でよく見られるようになった、とさ。

拍手再録。7Gでフラテイでした。テイトの反応は、照れ隠しみたいなもんです(笑)
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今日も今日とて仕事から逃走(本人は巡回と呼ぶ)から帰ってきた若き東方司令部の司令官は、受付のお嬢さん方から鋼の兄弟が来ていることを知らされた。
(久しぶりに鋼のが来ているのか。楽しみだなっ)
連絡一本も寄越さず来るのが、彼らしいと頬を緩める。
目下この司令官は、金色の小さな錬金術師がお気に入りだった。…いや、好きだった。愛していると言っても過言ではないくらい。
そして、その思いは結構周囲にバレバレだったりする(当人は知らない)のだが、肝心の相手はそれを嫌がらせと思っているのが悩みでもあった。
けれど、諦めの悪い彼は、振り向いてくれるまでがんばるつもりである。
いつもより賑やかな司令室に帰ると、そこに兄弟はいた。
「やぁ、鋼の。今日も可愛いね。アルフォンス君も久しぶりだ」
「げ、大佐」
「こんにちは。マスタング大佐」
部下達と談笑していた彼らは、ロイを見ると、一様に反応を返す。
「男に可愛いって言うな。無能大佐」
「ひどい言い草だね。私は君の上司なんだが」
「雨の日は役立たずのマッチ棒が何言ってやがる」
「相変わらずの口の悪さだ。けど、そんなところも愛しているよ、エディ」
その瞬間、エドワードはすくっと立った。


「ごめん、宗教上の理由でアンタと同じ空間に入れない」
「オマエこの無神論者!!競歩で出て行くな!耳を塞ぐな!っていうか何で私はこんな奴が好きなんだ?!!」


怒鳴りながらも、彼が素晴らしいばかりのスピードで遠ざかっていく鋼の錬金術師の姿を、小さい可愛い愛らしい抱きしめたいっ、なんて思って見つめている時点でお終いなのではということは。
彼以外…鋼の弟とその場にいた鷹の目のお姉さま以下、部下全員が気付いていて黙っていたのは……ひとえに、こんな上司に八つ当たりをされるのがイヤだったから、だろう…。

しかし……。 「でもさ、あれってエディの一種の愛情表現、だよね?アルくん」
「そうだね、ユーリ。だって、兄さんは素直な人じゃないから」
「つまり、どっちもラブラブってわけ。心配するだけ損よねっ」
なんて、会話が未成年組の間で交わされていたことは、誰も知らない…であろう。

拍手再録。鋼でロイエドでした。その後、エドにSOSを求められた中尉が、大佐を射撃の的扱いし、執務椅子に縛り付けるという事件が起こります…(多分)
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久しぶりにお互いのスケジュールがあった、日曜日。
工藤新一と黒羽快斗のバカップル(隣にお住まいの女史・談)は何故か工藤邸で睨み合っていた。
「嫌だ」
「いいじゃん。たまには」
「俺は嫌なんだ。そんなにしたいなら、一人でどうぞ」
「ヤだよ。俺は新一と一緒がいいのっ」
一生懸命訴える快斗に対して、新一は苦い顔をするだけだ。
しかし中々いい返事が貰えないので、快斗はとうとう最終手段を使うことにした。
「……新一。俺のこと、愛してないの?」
こんなに俺は新一のこと愛してるのに……。
藍色の瞳を潤ませて、快斗は新一の瞳を覗き込む。
そんな快斗をまともに見た新一は、蒼の瞳を揺らして、ため息を一つついた。


「どうしても相容れないモノも存在するんだ。わかるか?わかったら退け。ハウス!!」
「俺は犬か!?絶対諦めてやらねえ。今決めた、そう決めた」


「…そうか。じゃあ仕方ない。今ここできっぱりと別れよう、かい……」
「嘘です、ごめんなさいっ。もうパフェが食べたいなんて言いません!せめて○ッツのアイスでいいからぁ〜」
「………お前の奢り、な」
「うんっ。喜んで♪」
嬉しそうに抱きついてきた快斗に、新一は俺もまだまだ甘いな、と苦笑した。

ちなみに、2人が言い合いしていたのは。
買い物に出かけるなら、最近人気のカフェでカップルパフェが食べたい、と快斗が言い出したのが原因で。
甘い物嫌いの新一と衝突するのは、必然というもの。
後日詳細を聞いたお隣さんは、ブラックのコーヒーを飲みながら、ごちそうさま、と呟いた。

拍手再録。コナンで快新でした。ん〜、快斗くんがどんどん忠犬化してる気がする…。
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こちらの世界で暮らし始めて、習慣となった天使+ゾンビのお茶会。
「なんだ?言いたいことでもあるのか?」
隣に座ったヴァンツァーがじぃっと視線を注いでくるので、シェラは耐え切れずにそう聞いた。
「…いや。飼い犬が、他所の子供が可愛いから撫でようと手を出すと噛もうとするのは、どういう理由があるのかと思ってな」
「何を言っているのか、さっぱりわからない。もっと噛み砕いて言え」
全然関係のないことを告げた彼に、シェラは呆れてしまった。
しばし考え込んだヴァンツァーは、今度はシェラの手を取って、言った。
「人間、嫌いな相手が来ると態度がよそよそしくなるものだ。銀色、お前も俺を見ると避けそうになるだろう?だが、俺としてはお前と仲良くしたいが、銀色が避ける理由がわからない。そこで…」
一旦言葉を止めて、ヴァンツァーは、顔を引き攣らせるシェラの瞳を覗き込んだ。


「授業中真面目に考えたんだが、俺がお前に何かしたから俺を嫌っているのか?」
「別に何もされて居ないし嫌いじゃないから授業中は授業受けろ。ジワジワとこっち来るな!威圧感が凄い!」


既にシェラは椅子の背と彼の腕に追い詰められていて。彼らの整った顔と顔の間は、僅か十数センチ。
いつの間にか、シェラの頤にはヴァンツァーの手がかかっており、逃げ切れない状況である。
この場合どう対処するべきなのか。シェラは今までにないほど必死で彼に抵抗するハメになった。

「ねぇ。これって止めるべきなの?」
「やめた方がいいぜ〜」
「俺もそう思うよ。ルーファ」
なんで?と首を傾げた黒の天使に、太陽コンビいわく。

「「昔から言うだろ。『人の恋路を邪魔するヤツは馬に蹴られて死んじまえ』」」
見事にそろった彼らの言葉に、シェラが激しく抗議の声をあげたのは、言うまでもない…。

拍手再録。暁でヴァンシェラ+αでした。しかし、私が書くと2人に必ずと言っていいほど、他の人たちがくっついてくるような;
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ある月夜。任務帰りのカカシの元に、一つの影が降り立った。
―――カカシの思い人、暗部総隊長の緋月である。
「久しぶりだな、カカシ」
「……うわぁ、本当だネ。緋月…」
カカシは隠していない片目で、かの美貌の主をゆっくりと眺める。こうして彼に会うのは、実に一月ぶりだ。
ゆったりとした黒マントに包まれた細く白い肢体に、さらさらの髪。蜜色の宝石のような瞳。以前はそれらをもっと眺めていたような気がする(気がするだけ)。
黙ったままなカカシを訝しんだのか、赤い髪を揺らして緋月は小首を傾げた。


「最近来ないけど具合でも悪いの?」
「元気、超元気。緋月に『お前ストーカーっぽい』って言われて反省中につき可愛い事言わないでクダサイ」


「うん、知ってる。ワザとだから。むしろ、いなくなれととどめさしに来た」
「ヒドっ!!」
「あ。ちなみにここでオレの半径2m以内に入ってみやがれ。後ろで待機した2人が喜んで実験改良中の薬品を試してくれるってさ」
さぁ来るなら来い、とばかりに極上の笑顔を浮かべた緋月に、カカシが勝てるはずもなく。
哀れ(実際にはその場を一歩動いた瞬間に)修羅の餌食になりました、とさ。

その後がどうなったかって?
それは……決して語られることはなかった、とは同僚である某クマ上忍の証言である。

拍手再録。ナルトで緋月(ナル)+カカシでした。ストレス解消にはやっぱりカカシいじりでしょうっ、ってことで(笑)哀れ、カカシせんせい…別に嫌いなわけじゃないから。
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