10月31日、午後8時。帝都博物館。
鼠一匹入れない、強盗泥棒も真っ青なくらい厳重な警察の警備と興味本位な群集の中、今夜もまた1人の男がその真っ只中に降り立った。
『白の魔術師』と名高き、怪盗キッドである。
「こんばんは。中森警部」
白煙の中で優雅に礼をする姿は、嫌味な程に彼に似合っている。
「お忙しいところ、この私の舞台にお付き合いいただき、ありがとうございます」
「まったくだ!!そう思うんなら、今日こそこの場で逮捕されてみろっ」
中森は怪盗に怒鳴り返した。それを忙しくしている本人から言われても腹が立つだけである。
しかし、怪盗は気にせず、楽しげな口調で言ってきた。
「Trick or treat?」
「…は?」
「今日は何の日か、ご存知ですか?」
「今日……ハロウィンか?確か、商店街でそんなフェアやってるとか、青子が叫んでたなぁ」
「その通り。だから、聞いたんですよ。『Trick or treat?』って」
「って、そんなことやるのは子供だけだろうがっ!!」
「嫌ですねぇ。私も『子供(=キッド)』ですよ?」
クスクス笑う怪盗は、ですが、と前置きすると、怒る中森ににやりと笑いかけ、ショーケースの1つに手を伸ばした。
「私は悪戯するくらいなら、無理にでもお菓子を頂く方が好きなので」
指を鳴らすと、徐にケースに手を当て…ガラスを通り抜けた。警官たちが呆然としている間に、彼は中の黄色い宝石を手にする。
「『ゴールデン・ドロップ』。確かに、頂きました」
我に返った警官たちが慌ててケースに駆け寄る間に、怪盗は窓辺へ移動すると、優雅に一礼しその場をいとも簡単に去ってしまった。

上機嫌に空を飛んでいた怪盗は、あるビルの屋上に見慣れた人影を見つけ、頬を緩めた。
「こんばんは、愛しの名探偵。今日も楽しかったですよ」
「…よぉ、キッド。楽しんでもらえてなにより」
嬉しそうな怪盗とは正反対に、探偵は憮然とした表情でそう返した。何だか、不機嫌度がいつもより高い。
そんな探偵に苦笑し、怪盗は宝石を月に翳す。月の光にきらきらと輝く宝石は、大変綺麗だ。けれど、探偵のサファイアの双眼の煌めきには敵わないとも思う。あれはどんな宝石よりも美しいものなのだ。
「キッド。Trick or treat?」
頃合を見て、探偵がそう言った。怪盗は、黄色の宝石を探偵に渡す。
「名探偵の悪戯は、何だか怖そうですからね」
「さぁ、な」
「しかし、今日も楽しませてもらいました。やはり、私と対等に渡り合えるのは、貴方しかいません」
「攻略のしがいがあるってか」
「えぇ。ライバルとしても…恋人としても」
そう言って、怪盗は探偵の手を取ると、その甲に騎士がするかのごとく優雅に口付けを落とした。
「我が最愛のライバルに、敬意を表して」
「ばっ……はずかしい、やつ…」
照れ隠しのように逸らした探偵の顔が赤いことに気付き、怪盗は満足そうに笑う。
「では、気をつけてお帰りくださいね。名探偵」
「お前も、な。晩飯冷めない内に早く帰って来い」

だが、探偵の家に帰った先に、怪盗が見たものは……
「………あ、あの…新ちゃん?」
「ん?なんだ?遠慮なく喰えよ。今日のは自信作なんだ」
塩焼き、照り焼き、パスタ、炊き込みごはん、お吸い物…湯気を立てた、どれもおいしそうな様々な料理。
「そうよ。私と工藤君で腕によりをかけて作ったの。全部食べてちょうだいね」
「あ、ありがとう、哀ちゃん…け、けど……」
「まさか、俺と灰原の作った、この秋の味覚御前が食べられないと?」
「あら、そんなもったいないこと、彼が言うわけないじゃない。そうよね、黒羽君?」
「……………」
機嫌よく笑う探偵たちと、テーブルの上に並べられた、秋の味覚=秋刀魚尽くしの料理の数々。

実はこの裏には、探偵が新刊のために2日徹夜した後だったとか。
寝不足なのに、怪盗の予告状が解けないと警察に泣きつかれたため仕方なく要請に応じたとか。
寒いのが苦手なのに、外で1時間ほど怪盗を待たされた(待っていたのが正解)とか。
まぁ……色々な恨みというか八つ当たりに、お隣の女史が乗ってきたことから始まったりしたのだが。

そんなことよりも怪盗は今、目の前の愛情たっぷり魚料理と格闘しなければいけないことに、泣きそうであった。
果たして、解放されるのは何時になることやら…。


の上なら尊敬のキス


拍手再録。名探偵コナンで快斗×新一+哀でした。テーマはハロウィン&サンマ。
新ちゃんと哀ちゃんによる、愛ある快ちゃんイジメが結構好きです。でも、私の書くキッドって、何か手にキスするのが多いような…;


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 10月の終わり。文化祭にしては早く、運動会にしては遅い季節。
そんな中で、ここ魔神学園では毎年恒例・2日連続の文化体育祭が行われていた。
この祭り、1日目は文化祭として内外部の人気高を競い、2日目は純粋に競技で競い、総合点が高いクラスの優勝となるものだ。
優勝したクラスには、生徒会から豪華賞品が貰えるということなので、どのクラスも大抵はりきっていた。

「龍麻っ。京一君、見なかった?」
緋勇龍麻が同じクラスの美里葵に声をかけられたのは、2日目の体育祭・午前の競技も終わりかけというところであった。
「京一?見てないけど」
「おかしいわね。もうすぐ次の競技が始まるのに、見当たらないのよ」
「次って……あぁ。障害物競走か」
龍麻の相棒である蓬莱寺京一は、こういうイベントごとにはあまり興味を持たない。
ただ嫌いではないし、逆に乗せられると燃えて自分から進めるタイプではあるが、学校が絡むと面倒の一言で終えてしまう。
1人2種目以上の強制参加で、京一が選んだ(というか選ばされた)のは、最終の仮装リレー(龍麻が一緒に出ると手を上げた)と障害物競走。
つまりこの時点で葵が探しているということは、もちろん…サボリを選んだということだろう。
「困ったわね。校庭にはいないし、裏門の方も見て回ったんだけど…」
本当に困った顔で、葵は呟いた。ちなみに、サボリは得点にならない。
聞けばどうやら葵は優勝を狙ってるらしく、ここで京一が出れば大分点を稼ぐことができ、候補の一番上に名を載せられるというわけだ。
「これは…外か旧校舎に逃げた…わけじゃ、なさそうだな」
「さすが龍麻ね」
聖女の微笑を見せる葵に、龍麻は苦笑した。
何しろ校庭・校舎の周りには強力な結界が張ってあり(おそらく御門か裏密)一旦中へ入った『力』持つ存在が外へ出るのは無理になっている。
とすれば、探し人はおそらく中…多分、校舎の中だろう。
「あとどれくらいもたせられる?」
「必要とあればいくらでも。だけど、できれば15分くらいでお願いするわ」
「わかった。入場門までひっぱっていくよ」
「ありがとう、龍麻。助かるわ」
生徒会長としての仕事もあるため行けない葵に、龍麻は軽く微笑むと、校舎の中へと入っていった。

探し人は、気を探れば案外簡単に見つかった。
もっとも、探らずとも龍麻にはそこにいるとわかっていたのだが。
普段は鍵のかかっている屋上で、寝転がっている京一の顔を覗きこむ。
「きょーいちっ」
「…ぅぉわ?!た、龍麻?!」
一拍置いて心底驚いた様子の相棒に、龍麻は眉を顰めた。
「…何驚いてんの?」
「……お前が来ると思ってなかったから」
バツの悪そうな京一の顔が面白くて、龍麻は少し笑った。
「美里が泣いてたぞ。京一君が逃げたってな」
「や、美里は泣かねぇだろ。っつーかさ、俺もう疲れたの。このままにしといてくんない?」
どうせ俺がいなくても優勝はできるだろ、と言う京一はまた寝転がった。
「何か疲れるようなことしたっけ?」
「昨日っ。害虫退治に疲れたの!」
「害虫…?」
「そ。例えば爺バカ亀とかさいほ……っと」
裁縫好きの暗殺者、と言いかけて京一は慌てて口を噤んだ。言えば多分バレてしまう(龍麻の隣を巡っての1vs大勢の水面下での戦いだった;)。
わからなかった龍麻はしばらく疑問に思っていたが、やがて諦めたのか、当初の話題に戻した。
「何でもいいけどさ。競技、本当に出ないのか?」
「出ない。面倒だしな」
「サボったのは、逃げたってとられるかも知れないぞ?」
「別にいいよ」
「けど、1つでもサボったやつは罰としてどの競技にも参加できなくなるよな」
「出る気ねーもん」
「最後の仮装リレーもだけど、いいのか?」
「………えーと(あ、忘れてた;)」
「俺がバトン渡せるのは、京一だけだと思ってたんだけどなぁ」
「………っ(ひ、ひーちゃんからバトン…っ)」
複雑な顔をして唸る京一に、笑いを堪える龍麻。
それに気付いて京一が拗ねた顔を見せると、仕方ないな、と肩を竦めて、京一の前髪をかきあげ…。
額に、ちゅっとキスされた。
「ほら。いい子だから、な?」
蕩けるような微笑を浮かべて、龍麻は離れた。
頬を赤く染めた京一は、しばらく唸り続けると、急ににまっと笑って龍麻を見上げた。
「よしっ。しゃーねーな。ひーちゃんからのお願いだし。この蓬莱寺様の実力を見せてやるっ」
青空に映える、不敵で爽やかな笑顔。龍麻の好きな笑顔だ。
龍麻は手を差し出して、京一が立ち上がる手伝いをしてやる。
「最初から素直にそうすればいいのに」
「へへっ。充電完了ってことで。だからさ…龍麻」
「ん?」
振り返った龍麻の耳元で、京一が何事かを囁く。見る間に真っ赤になる龍麻が面白くて、京一は満足そうに笑った。
「京一っ!!」
「いいじゃんっ。約束な♪」
京一の上機嫌な声と、龍麻の照れ混じりの上擦った声が屋上に響いた。




拍手再録。東京魔人学園剣風帖・京一×主人公(龍麻)でした。テーマは文化&体育祭。
アニメとコミックしか見てないけど、どっちかっていうとゲームっぽいかもしんない。腹黒い美里サマが気に入りです(笑)


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 朝晩が少し肌寒くなってきた季節の、ある昼下がり。
テイトは奉仕活動の一環で、ハクレンや子供達と一緒に落葉掃除をしていた。
集めた落ち葉の中にミカゲが入って子供達と遊ぶ声や、ハクレンがそれを窘める声が聞こえる。
空は青く、陽射しは暖かで、テイトの気分も爽やかであった。
仲良く掃除を終えたところで、教会の方からフラウが他の子供達と歩いて…否、ぶら下がられてくるのが見えた。
なにやら、肩には大きな籠を担いでいる。
「よぉ、クソガキども」
「……何やってんの?フラウ」
「休憩だ。きゅーけい。んで、いい子にしてたお前らに、俺から愛の差し入れだ」
フラウが子供たちと籠を下ろすと、掃除を終えた子供達が集まってくる。
そして、籠の中を見て歓声があがった。テイトとハクレンも中を覗く。
「……さつまいも、ですか」
「さつまいも?」
「そっ。こいつで焼き芋を……って、テイト。お前知らねぇのか?」
「………やきいも、って何?」
籠の中身を見てミカゲと一緒に首を傾げるテイトに、フラウとハクレンは絶句した。
まさか知らないとは思ってなかったフラウは、バツの悪い顔をすると、まぁ見てろ、とテイトに笑いかけた。
テイトの見ている前で、フラウは集めた落ち葉の山に手際よく火を入れる。すると煙が昇り始めたのを見て、子供達がさつまいもをその中に入れ始めた。
焚き火の側は暖かい。彼らはその場で火に当たりながら、焼ける頃合を見計らう。
「えーっと、さつまいもっていうのを焼くから、焼き芋?」
「そ。こうやって焼いて食うのが、掃除の後の楽しみなんだよ」
ただ落葉集めしただけじゃつまんねーだろ、と言うフラウに、子供達が同意を示す。
確かに、寒い中黙々と集めるだけでは、つまらない仕事ではあると思う(それを言ったら他のはどうなんだというツッコミはさておき)。
納得するテイトの目の前で、フラウは細長い棒を取り出すと、落ち葉の中にそれを突っ込んだ。
ごそごそと掻き回して出てきたのは、湯気を立てるさつまいもたち。
次から次へと取り出し、それを順に受け取っていく子供達は、フラウに礼を言うととても嬉しそうに教会の方へと駆け戻っていった。
「ほい、テイト。ハクレンも」
「ありがとうございます。フラウ司教」
「…あ、ありがと。フラウ」
受け取ったさつまいもは熱過ぎたので、テイトは袖の布越しにそれを持つ。
暖かいそれを割ると、ほくほくした黄色い中身と食欲をそそる甘い匂いに、テイトは目を輝かせた。
「うわぁ、うまそっ!」
「だろ。マジで美味いから喰ってみろ」
促されて食べると、ふわりとした食感の後に程よい甘さと優しい味が口に広がった。
「おいし…っ。何ていうか、懐かしい味?」
「そっか。よかったな、テイト」
そう言ったフラウは、テイトの頭を乱暴に撫でた。髪がぐしゃぐしゃになる、と文句を言ったが、テイトは嫌ではなかった。
しばらくして、全部食べ終わったハクレンが、まだ食べているフラウを見かねてバケツを持って水を汲みに行った。
それを見送るとくいっと服を引っ張られる感じがして見下ろせば、同じようにまだ焼き芋を頬張っていたテイトが見ていた。
「また、作ってくれる?」
翡翠の瞳に浮かぶのは、少しの期待と、不安。おずおずといった感じが可愛くて、フラウは笑って、またな、と返した。
すると、テイトも満面の笑みを浮かべた。
「ありがと、フラウっ」
体をぐいと引き寄せられて、次いでやってきた柔らかい感触にフラウは目を丸くした。

頬に落ちてきたのは、ふわりと優しく軽い、キス。

呆然としていると、テイトは赤く染めた顔でフラウを見上げてくる。
「お、お礼だからなっ。焼き芋おいしかったし。それだけっ」
動揺する姿は、小動物のようで愛らしい。慌てるテイトを、フラウはぎゅっと腕の中に閉じ込めた。
「テイト、もう一回!」
「な…っ、嫌だ!結構恥ずかしいんだぞっ」
「俺へのお礼だろ?それなら今のは不意打ちだからノーカウントだ。よくわからんかったからな」
「…仕方ないな。もう一回、だけな」
甘く仄かな温もりがもう一度頬に降りてきたのに、フラウはそれを目を閉じて満足気に受け入れた。




拍手再録。07-GHOST・フラウ×テイト。テーマは焚き火&焼き芋でした。一番ほんわかした話かも。


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「今日も一日お疲れさん」
「そっちこそ」
カン、と猪口をぶつけ合って、笑みを交わす。それは、互いに心を許した、共犯の微笑み。
酒を煽ると視界に広がる、青みの残る夜空に掲げられたる、欠けたところのない大きい、満月。 その美しさに惹かれ、任務帰りの一杯しようと言い出したのはナルトだった。
森の屋敷に帰ってくるなり手甲やら武器やらを外すのもそこそこに、2人は酒の用意をして縁側で月見を始めた。
「一日の終わりに、美味い酒と綺麗な相棒。あと、綺麗な月。いいもんだよなぁ」
「綺麗は余計だけど、シカ…何かシカクみたい;」
「げっ、親父と!?そりゃあ勘弁してくれ。ただでさえそっくりなのに、ヤなんだよ」
「そう?オレはシカクの渋い顔、シカみたいで好きだけど」
「…そうか」
「でも静かな夜に、月見酒。ちょっと贅沢って感じ」
「…あー、確かにな」
銚子を持って注いだり、注がれたり。涼しい風が火照った頬を撫ぜて、気持ちがいい。
交わす言葉は少ないものの、間に流れる空気は心地よく、2人はそれに身を任せた。
シカマルはそっと、隣に座るナルトを見る。
月の光が横顔を照らし、白い肌と合間あって輪郭がくっきりとしている。伏せがちの瞳は、アイスブルー。
金色の髪が細工のように透けて輝き、本当に精巧な人形のようだ。
「なに?人の顔じっと見て」
口元が綻ぶと、花が咲いたように空気が艶やかになった。
わけのわからない思いが、溢れる。
床に置かれた手に手を添えて、ゆっくりと顔を近づける。
ナルトも目を閉じて、それに応じる。
惹かれるままに、鮮やかな紅い唇へと口付けた。

触れるだけの、柔らかいキス。

言葉に出来ない思いが全て伝わればと、角度を何度も変えて、シカマルは貪るようにそれを堪能した。
息があがるのを感じて話せば、酔いのせいもあるのか、ナルトの顔がほんのりと赤く染まっている。
扇情的な表情に、シカマルは自分の中の獣が暴れだしそうになるのを感じた。
「ナル、愛して…」
しかし、シカマルの言葉は、ナルトが唇に添えた白い指によって遮られた。
「別に、言葉はいらない、だろ」

誘うような、魅惑的な魔性の微笑み。

誰も見ることのできない、とっておきのそれに、気を良くしたシカマルは。
誘われるまま2人で床に倒れこむと、軽かった口付けを、より深く激しいものへと変えていった。

酔ったのは、一体何にだろう。
月か、キスか、それとも……お前の存在、にか。




拍手再録。NARUTO・シカマル×ナルトでした。テーマは月見酒。この中で一番…なんていうか、甘くなったかも…;


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「秋、だなぁ」
「秋だな。この間まで暑かった夏が終わって涼しくなったのだから、次が秋は当然だろう」
「…情緒がないぞ。大体…何でお前がここにいるんだっ!!」
「それを持ってきたのは、俺たちだが」
「あぁそうだなっ。それはわかっている。だから、あっちでリィと一緒に待っていろと言ったのにっ」
「あの2人と一緒になど、待っていられるか。それならこっちでお前の観察でもした方がずっと楽しい」
「私は珍獣じゃないっ。…あの2人と一緒が嫌というのは、気持ちはわからなくもないがな」
はぁ、とため息をついて、シェラは暇そうにしているのならとヴァンツァーに包丁を持たせて手伝ってもらうことにした。

事の起こりは、昼になる1時間ほど前。
敵(?)であるはずのレティシアとヴァンツァーが突然やってきたことに始まる。
いつもなら速攻で追い返そうとするのだが、今日は少しだけ様子が違った。
「いっつも手ぶらってのも悪ぃからさ。ほら、王妃さんとお嬢ちゃんにおみやげ♪」
「お。美味そうなきのこじゃん。こっちは山菜か」
「…毒なんて、入ってないだろうな」
「んなの入れてねぇって。なぁ、王妃さん」
「あぁ。別に変なものは入ってないぞ。シェラ」
「そうそう。だからさ、これでなんか作ってほしいなv」
ようは、材料持ってきたから調理しろ、ということだ。
確かに、シェラはレティシアが嫌いだ。だが、料理はかなり好きである。
しかも、こんなに見事な山菜を目の前にして放っておくのは、シェラの料理人精神に反する。
幸い、今日は王は用事があるとかで夜まで城にはいないから、来る心配もない。
つまり、レティシアと鉢合せすることはないのだ。
山菜とリィのためだから仕方ないと、彼らの存在には目を瞑ることにして、シェラは早速用意に取り掛かった。
簡単にだがテーブルの上を整え、リィたち3人にここで待って貰うように言い置き、自分は厨房に入って下ごしらえをする。
その十数分後。
あの2人の間にいることに耐えられなくなったヴァンツァーが、シェラの方に避難し、冒頭の会話に戻る。

鍋の中のシチューを煮込みながら、別の作業を進めるシェラの手際はいい。
彼らの持ってきた材料に色々足して、あっとういう間に一品、また一品と出来上がっていく。
しかも、本人は気付いてないようだが、ヴァンツァーが隣にいるのに笑顔で楽しそうだ。
「…お前なぁ。呆けているのなら、ここの皿をあっちに持って行け」
手伝いも一段落してじーっとシェラを見ていると、その彼が呆れた顔でこっちを見返してきた。
彼の手にもいくつか皿があることから、もうほとんど終わりらしい。
さっきまでの様子を思い出し、ふっと笑うと、シェラは不思議な顔をした。
「いや、よくやるなと思って」
「何がだ?」
「料理。材料は俺とレティが持ってきたのに、楽しそうだ」
「…あぁ。お前達を完全に信用してるわけじゃないが、リィがああ言ったのだし、何より食材には何も罪はないからな」
それに彼らが持ってきたものは、どれもおいしそうだった。
シェラの信条として『おいしいものはおいしく食べてもらう』というのがある以上、無駄にはできない。
そう言うと、一瞬の沈黙の後、ヴァンツァーは面白いと笑った。
「何がおかしい」
「いや、銀色は可愛いなと思って」
「はぁ?」
「相手がレティでも変わらない、お前のそういうところは正直羨ましいかもしれん」
ずいと顔を近づけてきたので、シェラが思わず目を瞑る。

ヴァンツァーはその閉じた瞼に、冷たい唇を落とした。

そして、何が起こったのかわからず固まるシェラに笑いかけると、彼は皿をシェラの両手から奪い取って、厨房をあとにした。

「ほら。持ってきてやったぞ」
「ご苦労さん。黒いの」
「で?折角2人きりにしてやったんだ。何かお嬢ちゃんと進展あった?」
「………別に」
答えの前の沈黙が、やけに嬉しそうに聞こえて、にやにや笑うリィとレティシアであった。




拍手再録。デルフィニア戦記・ヴァンツァー×シェラ+リィ+レティシア。テーマはキノコ&料理でした。
デル戦もそうだったけど、クラブレのヴェロニカ読んでたら、あの場面でそこまで料理できるとはさすがシェラっ、と思ってしまった(笑)


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 爽やかな秋の風が吹く、午後。 人気の全くない学園校舎の庭の木陰に、2人の少女がいた。
1人は木に凭れながら萌黄色の髪を遊ばせ、1人は漆黒の髪を草原に散らして寝転がっている。
片方は男物の制服で、片方は貴婦人の着る様な裾の長いドレスを身に纏っているが、どちらも容姿は一級芸術品のようである。
「ふてくされているな」
「…うるさい。それに、ふてくされているんじゃなくて、疲れているんだ」
少女にしては低い声が黒髪の少女の口から漏れる。
「…C.C.。あちこち見て楽しんでくるのはいいが、ここの生徒じゃない、なんてバレるなよ」
「誰に向かって言ってるんだ、ルルーシュ?」
「お前だ。毎度冷や冷やさせられるこっちの身になってみろ」
「お前の方こそ、襲われるなよ」
「…誰に襲われるんだ。俺は男だぞ」
力ない物言いにのC.C.と呼ばれた少女は軽やかな笑い声をたてると、ごゆっくり、と言い残して去って行った。
ルルーシュと呼ばれた少女…少年は、ため息を一つつくと、差し込む陽光に意識を溶かすように、ゆっくりとまどろみ始めた。

 それからしばらくして、彼のいる一画に1人の少女…に扮した少年がやってきた。
眠っているルルーシュの姿を見ると、猫のようにするりと忍び寄った少年は、隣に座り込む。
横に手をついて身を屈めると、耳に顔を近づけた。
「そんなに無防備だと、襲われても文句は言えないよ」
耳元で囁く、艶を含んだ甘い声。
しかしルルーシュは少し顔を顰め身じろぎしただけで、起きる気配はない。
人など来ないと安心して深い眠りに入っているのか、それとも隣にいるのが少年であるからなのか。
気配には敏感なはずの親友がそれでも起きてこないことに、少年はひっそり笑った。
「余程疲れてるみたいだね、ルルーシュ」
スザクはルルーシュの額にかかる髪をそっと払った。眩しいばかりの肌の白さに、思わず目を細める。
きめ細かい雪のような肌。ウィッグを着けているとはいえ、艶やかな漆黒の髪。男というより中性的な美貌の、整った容姿。
こうして草の上に寝転がっているだけなら、男なら誰でも誘いたくなる、絶世の美少女だ。
唯一、強い意志を秘めた紫水晶の瞳だけが、長い睫毛に縁取られた目蓋の奥に隠されているのが大変残念ではあるが。
「最近、何だか忙しいよね。君。無茶、してない?」
昔から厄介な身の上であることは承知しているが、再会してからはどこか一線を感じて仕方がない。
しかも、周囲に…彼の愛する妹にさえ、何か隠し事をしているようだ。
(昔と違って、隠すのが上手くなったよね…)
親友のそんな態度が、スザクにはひどく寂しく…苛ただしい。
自分の彼に持つ想いは、抱えてはいけないものだという悩みはある。
叶えば、いい……叶えてしまおうか。昏い感情が、心の底に渦巻く。
けれど、そうはできない現実が、自分達の目の前には、ある。
スザクは、ルルーシュの細い手首を持ち上げた。白い指先はたおやかで、とても同じ男とは思えない。
「いっそ、この気持ちに気付いてくれたら…」
これほどまでに狂った思考を抱え込むことはなかったのだろうか。
音無き声の呟きは甘く切なく、掌に口付けを落とす姿は、まるで一つの儀式のよう。
そこで、図ったかのように、ルルーシュが目を覚ました。
「…………すざ、く?」
「あ、ごめん。起こした?もうちょっと寝てなよ」
「…や、だいじょうぶ。あれ、なにやってんだ?」
まだ寝惚けているのか、スザクに掴まれたのとは反対の手で目蓋をこすり舌足らずに言う姿がとても可愛い。
思わず笑ったスザクに、ルルーシュは首を傾げる。
そんな彼にスザクは笑って誤魔化し、ルルーシュは益々訳がわからないまま、本能に従ってもう一度眠りについた。

ただ、スザクに掴まれていた手の掌が、何故か熱かった。




拍手再録。コードギアス・スザク→ルルーシュ。テーマは芸術…っていうか(男女逆転)祭?
あくまで一方通行であって×じゃないです。えぇ決してっ(泣)


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 久しぶりに、東方司令部に鋼の錬金術師とその弟がやってきた。
彼らの訪問は、不定期だ。1週間後にまた来た、と思えば、半年ほど姿を見せない時もある。
ちなみに、今回の彼らの訪問はまだましな方で、前回から実に2ヶ月経っていた。
彼らの訪れを楽しみにしている司令部の歓迎は、中々手厚いものだ。
特に、司令部筆頭であるロイの、彼…鋼の錬金術師への歓迎は、恋人同士ということもあってかなりのものである。
だが、今回は(というか『も』?)それが叶わなかった。
それというのも……。

「大佐〜。まだ〜?」
「……あと、1時間待ってくれ」
「ごめんなさいね、エドワード君。急ぎの書類が溜まってるの」
「気にしないでよ、中尉。今日は時間あるし。それに、仕事溜めた『無能』が全て悪いんだからさ」
リザに出されたお茶を楽しみながらのエドワードの笑顔の言葉に、ぐさっと体を貫かれたロイは泣きそうだった。

それから30分後。
朝から拘束されていたロイは飽きてきたこともあって、急ぎの書類と格闘する合間ちらちらとエドワードの様子を伺っていた。
既にお茶を飲み干した彼の暇潰しの対象は、本へと移っていた。
エドワードの読書への没頭さは、恐ろしい。どの程度かというと、どれほど大きい物音が立とうとも、何をされようとも、全く気付かない。
弟のアルフォンスに言わせれば、放っておくと読み終えるまで睡眠も食事も何もしないのだとか。
「…鋼の」
試しにロイは呼んでみた。案の定返事はない。
近付いて今度は名前でもう一度呼んでみたが、結果は同じだ。
ふと悪戯心に駆られて、みつ編みの先の紐を外してみた。
旅で少々傷んでいるものの、見事なまでの金色が真っ直ぐ背中に流れ落ちる。手櫛で梳いてやると、太陽の優しい匂いと滑らかな感触がする。
「エディ」
いつもなら呼んだだけで怒る愛称を口にした。
反応はない。どうやら、本に没頭しているらしい。
完全に意識を本の世界へ飛ばしている愛しき人に、ロイは不快気に顔を顰めた。
(私といるのに、ここまで本に夢中になられると……気分が悪いな)
いい大人がみっともないとも思わなくはないが、ようは、本に嫉妬しているらしい。
そして、金色の髪を掻き上げると、露になった首筋に、荒々しく口付けた。
「ぅひゃっ!?」
「あぁ。相変わらずここが弱いね。エディ」
叫び声を上げたエドワードに、ロイは満足気に口角をあげた。
「何しやがるっ、このエロ大佐!しかもいつの間にか髪の毛ほどいてやがるしっ」
「いいじゃないか。相手をしてくれない君が悪い」
「相手も何も仕事終わってねぇのはそっちだろ……って、なにしてるんデショウカネ、ロイ・マスタング大佐?」
気がつけばエドワードの両手は、ロイによってソファに縫い止められていた。
その態勢に顔を引き攣らせたエドワードに、ロイは清々しいほどの笑みを浮かべる。
「気にするな。エディ」
「気にするわ!ってかどこさわって…ゃめ…っ」
真っ赤になるエドワードの上に乗り上げると、ロイは左手首から肩へ順に口付けていき、最後に首元を強く吸って赤い華を咲かせた。
「なぁ、エディ。久しぶりにあった私に、構ってはくれないかい?」
魅惑的な、甘く濡れた低い声。
快楽に流されそうになりながらも、エドワードはこのままではヤバイと思い、力を振り絞って声を張り上げた。
「たすけて、ホークアイ中尉っ!!」
発した名前に青褪めたロイだったが、彼の叫びの3秒後。
「…お仕事は終えられたのでしょうね、マスタング大佐?」
ジャキっ、と彼女の愛用銃の安全装置が外れる音が、やけに大きく聞こえた。
彼女を取り巻く氷のような空気と突きつけられた銃口に動揺して起き上がったロイ。
その隙をついて、エドワードは乱れた服を整え、本を持って脱兎の如くリザの側へと駆け寄った。
「大丈夫だった?エドワード君」
「ん、だいじょーぶ。ありがと、中尉」
「後は私に任せて、向こうでゆっくりしてらっしゃい」
ロイに向けたのとは正反対の微笑みで勧められ、エドワードは再度礼を言った。
「え、エディ……」
「読書の邪魔しやがった罰だ。精々楽しんでくれよ。ロイv」
悪魔のような天使の笑みを一つ残して、エドワードは抱えた本と共に絶叫響くその戦場から去っていった。




拍手再録。鋼の錬金術師・ロイ×エドワード+リザさんで、テーマは読書でした。


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 今日も今日とて異世界旅の途中、立ち寄った廃村の、宿代わりにした一軒で。
羅貫は見回りも湯も済ませ、湯上りで火照った体を冷まそうと、足を外に放り出すような形で窓辺に座った。
ゆるりと涼しげな風が頬を撫ぜ、湿った体に心地良い。月や星の代わりに灯の花が煌いて、少々高い位置にいる羅貫からすれば、地上はちょっとした宝石箱のようだ。
もっとも、彼らが歩いてきたところだけではあるが。
「羅貫?」
「うわっ?!」
突然自分を呼ぶ声がして、ぼーっとしていた羅貫はビクリと肩を震わせた。
「な、何だ…千艸か」
いつ来たのか、外側に寄り添うように立っていた千艸を見て、羅貫はほぅと息をついた。
「どうかしたのか?」
「湯中りしたから冷ましてんの。あ、さっき成重さんから栗貰ったんだけど、食べる?」
そう言った羅貫は、お椀に入った蒸し栗を見せた。栗はこの村の外れで見つけた種を育てたものだ。
「おいしそうだな」
「でしょ。けど、さわっても大丈夫かな」
羅貫は沙芽だ。少しでも触った植物は、何であろうと成長させてしまう力がある。
故に食べる時などは箸を使うのだが、今は洗って乾かしている最中だった。
千艸は何事か考えると、椀の中の栗を一つ取って剥いた。
「羅貫。こっち向いて」
呼ばれて振り向いた羅貫の唇に、その栗が軽く押し付けられた。
思わずそれを食べた羅貫は、口に広がったほんのりとした甘さに頬を緩めた。
「甘くて、おいしい」
「そっか。よかった」
つられて嬉しそうにした千艸は、栗を取って自分も食べた。
柔らかい風が木々を、草花を揺らしていく。
先日手に入れたばかりのススキの金色の穂が、灯の花に照らされて、きらきらと光っている。
これがあっちの世界なら、秋だなぁ、なんて暢気に呟いていたかもしれない、と思うと少しだけ切ない。
「羅貫、何を見てるんだ?」
「ん。ススキとか、他の植物とか。随分増えたような気はしたけど、こうやって見るとまだまだだなって」
苦い顔をして再び下を見る羅貫の視線を辿って、千艸も見た。
彼らの旅の軌跡が、そのまま光の道となって続いている。とても綺麗な光景だ。
千艸からしてみれば、元々緑などなかったのだから、これでも随分ある方だと思う。
しかし、羅貫が目指すのは、世界を全部緑にすること、だ。
ふと、以前それに対して『無茶は言ってないって言って』と彼からこっそり頼まれたことがあったのを思い出した。
羅貫は強くて綺麗だけど、何か不安に思ってもあまり口に出さないし、隠そうとする傾向がある。
時折こうして脆くなった時、千艸は羅貫が愛おしいと思うと同時に、どうにかして彼を支えてやりたいと思う。
「羅貫。心配しなくていい。緑は確実に増えてるし、旅はまだ始まったばかりだ。これからどんどん増やしていけばいい」
「…うん。そうだね」
「大丈夫だ。俺達がいる。1人じゃなくて、俺も、皆も一緒だから、絶対できるよ」
千艸の言葉に羅貫は目を丸くして、それから本当に嬉しそうに、花が咲いたように笑みを浮かべた。
その笑顔に、千艸の胸が悲鳴をあげる。ただ、嬉しくて…独り占めしたくて。
それは、抑えきれない衝動。
白い素足が視界に入って、気がつけば、その甲に口付けていた。
「……っ?!」
予期せぬ千艸の行動に、羅貫は声にならない悲鳴を上げた。
「ち、ちぐさっ?な、なにやって…」
「ん、なんとなく。前に羅貫の家の箱でこんなのやってたな、って」
じたばたする羅貫に、千艸は平然と言った。
箱―つまりテレビでやっていた誰かの真似をしているらしい。
多分千艸が見たのは騎士が主に忠誠を誓うシーンかな、などと羅貫は混乱する思考の片隅で思った。
「そーいや、昔誰かがキスする場所によって、意味が違うとか何とか、言ってたな」
「意味?あるの?」
「みたい。えーっと、口が愛情で、手が尊敬で、額が友情で…」
「足は?」
「……そのほか。確か、狂気の沙汰、だったかな」
別にそれが正しいとかじゃないから気にすんな、と慌てて付け加える羅貫だったが、結構当たってる気がする、と千艸は思った。

『羅貫』という存在になら、狂ってもいいとどこかで思っている自分が、確かに存在しているのだから。

「お、いたいた。千艸、成重が見回り終わったんならお前も湯に……って、あれ?羅貫も一緒だったの?」
「あ、灯二。もう湯から上がったの?」
「もうって、お前出てから結構時間経ってると思うんだけど」
「ラカン君、千艸見かけ……も何も、そこにいましたか」
『あ、栗まだ残ってンじゃン!』
「虹、食べる?成重さんと灯二も」
「おっ、うまそ〜」
「私も頂きましょうかね」
「じゃあ、俺も。羅貫、あーん」
「あんたは何どさくさに紛れてやってんですか!」
「…羅貫の箸代わり」
「当然とばかりに言わないでくださいっ。あ、ラカン君も納得しちゃダメですよ?!」
こうして4人と1匹の賑やかな夜は更けていく。
気がつけば、羅貫の不安は溶けていた。
1人ではなく、皆がいるから大丈夫なんだと。
これから何があっても、きっと乗り越えられるのだという思いによって。




拍手再録。Silver Diamond・千艸×羅貫でした。テーマはススキ&栗。
ちーさんが羅貫くんにくっつくのを成重さんと灯二が引き剥がすんだか巻き込まれるんだか、な仲良しパターンがすっごく大好きですっ。


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ある日、火の国・某料亭にて。
ナルト、シカマル、帝の前に数々の料理が並べられている。

「うわぁっ。この天ぷら、山菜尽くし!おいしそ〜♪」
「お。こっちの秋刀魚も美味いぞ」
「土瓶蒸しも中々良い香りだね」
「って、なんでお前がいんだよ?!」
「お前とは失礼だね。ほぼ初対面でそのような口を年上にきくものではないよ。シカマル君」
「?!(俺名前なんて言ったっけ?)」
「どうせ、皐月から聞いたんだろ。仕方ないじゃん。今回は、招待された側なわけだし。この面子選んだの、オレらじゃないし」
「くそっ。俺とナルだけならともかく、何でこの人呼んだんだか!」
「灯嬢の趣味じゃないかな。文句があるなら彼女に言いたまえ」
「わーい、こっちの朴葉焼きもおいしそっ」
「酒も上等だし、さぞ高い店だろうね。奢りと言われなければ、来なかったよ」
「高給取りのセリフじゃないぞ、それ。けど、本当。踏み倒しなんてされないよな?灯のことだし」
「その時は私が払ってあげるよ。安心して食事するといい」
「お前らなぁ。…そーだよなぁ。いきなり双子がやってきて、招待状押し付けてっただけだし。なぁ、ナル!」
「ところでさ、デザートはなんだろ?スイートポテト?それともわらびもち?抹茶と一緒に羊羹もいいなぁ」
「…人の話、ちっとは聞こうぜ…;」
「それは無理というものだろう。これだけおいしそうな」
「大体、アンタ、ナルとどんな関係なんだよっ。この間だって……(以下延々続く)」
「やったっ、次は短角牛のステーキと松茸ご飯!…と、メモ?えーと『任務よろしく by 灯』。あ、そうだった。シカぁ」
「それについては、ノーコメントとさせてもらうよ」
「うっせぇ!さっきからそればっかじゃねぇかっ。いい加減……(以下同)」
「…って、聞いてない。ったく、人の話聞けっての(自分のことは棚上げ)。じゃあ、さっさと済ますか。さーて、オレが灯から受けた任務は、今回の拍手SSについて紹介すること。全部で9つ。1つは、茜さんからトリブラで『アベルとカテリーナ〜出会い〜』。残りは灯のやつからで、『秋』と『グリルパルツァーのキス』をテーマに色んなジャンル。内訳としては、7G・鋼・デル戦・コナン。そして今回のオススメに、ギアス・魔人剣風帖・S◇。もちろんオレとシカの話もばっちりあるよ。けど、どの順で当たるかはお楽しみだったんだぜ♪(今回はバレ済だけどな)以上、ラインナップの紹介でした!さ、ご飯の続きっと。これおいひ〜v(再び食事に没頭)」
「………いい加減にしないかい?折角の食事が冷めてしまう」
「…………そーだな。お、飯もうねぇ。お櫃はっと……あれ、からっぽ?」
「ほへ、ほははり?…(ゴックン)もうないよ」
「……早いねぇ;」
「………マジ?俺一杯しか食ってねぇし」
「ささっ。次の料理はなーにかなぁ♪」




拍手再録。NARUTO・ナル+シカ+帝。テーマは秋の味覚三昧で、拍手紹介のおまけに使ったやつです。
その時食べたかったものばっかりチョイスした覚えが(笑)


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