何故か街中でバッタリ会った黒髪の青年に、シェラはまず顔をしかめた。
「…買い物か?」
「……あぁ。お前も、か?」
尋ねると肯定が返ってきた。シェラはもう少し遅い時間に来ればよかったかな、とちらりと思った。
ふと、相手も黙ってることに気がつき、シェラは顔をあげた。
その瞬間に、相手の顔はシェラのすぐ前にあった。
そして、ごく自然に、ヴァンツァーはシェラにキスをしていた。それはすぐに離れる。
だが、シェラはキスされたことよりも、子供じみた飴玉の味が意外だった。
目で問うと、彼は肩を竦めて答えた。
「疲れたときには甘いものが一番だと、レティが言ったんでな」
だからキャンディを舐めていた、と言うヴァンツァーは、ふと思い直して、にやりと笑うと、再びシェラに顔を近づける。
嫌な予感がしたシェラは、彼から離れようとするが、その分更に近づいてくる。
「だが、お前の方が、飴よりなどよりも、遥かに甘いと俺は思う」
甘く心地よい声に、シェラはかすかに頬を赤らめた。

しかし、その様子を、これまた偶然見ていた金と黒の天使と黒い太陽の3人が眺めていたことなど、この時の2人が知る由はなかった。

拍手再録。暁でヴァンシェラ+αでした。
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 ロイが夜の仕事の合間に休憩をしている最中、恋人(本人は否定)のエドワードが尋ねてきた。
サボってないか、とリザが寄越したらしい。手には夜食のおにぎりが載った盆を持っていた。
「…やっぱサボってんじゃん。大佐」
「せめて、休憩と言ってくれ」
「結局、一緒じゃん」
働け税金泥棒、と憎まれ口を叩いて、エドワードは盆を執務机に置いて、窓辺に腰掛けるロイに近づいた。
「……タバコ?」
「あぁ。何だか吸いたくなってね」
「オレ、嫌い。煙いし」
嫌な顔をしたエドワードに、ロイは彼の腕を引いて自らの腕の中に閉じ込める。
そして、そっと額にキスをした。ロイの唇はそのままこめかみ、頬へと滑り落ち、エドワードのそれへ重なる。
だがしばらくして、エドワードは急にぐいっとロイを引き離すと、口元に手を当てた。
「苦っっ!!」
ぺっと下を出して、エドワードは顔を思い切りしかめた。
「だから、タバコは止めろっていったのに」
恨めしげに言われて、ロイは苦笑をこぼした。
「口寂しかったんだから、仕方ない」
「ちっとは我慢しろ。こんな苦いの、何がおいしいんだか」
子供らしい意見に、くすりと笑いがこみあげる。それに目敏く気付いて、エドワードはロイを睨み付ける。
「どうせ、オレは子供だよっ」
「拗ねるな、エディ」
「誰がエディだっ!」
「ところで、さっきの話だがね」
「ん?…タバコ止めろってやつ?」
「そう。止められる方法が、一つだけある」
「………なに?」
「口寂しい時に、君が相手をしてくれるなら、止めるよ」
尋ねるエドワードに、ロイは艶やかに微笑んだ。

しばらくして、顔を赤くしたエドワードが返したのは、「バカ?」という言葉と、羽のように軽いキスであった。

拍手再録。鋼でロイエドでした。私のイメージじゃ、ロイさんは煙草偶にしか吸わない感じがするんで。
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 図書室で本を借り、テイトは同僚とドラゴンになった親友の待つ自分の部屋へ帰ろうとしていた。
読みたかった本を借りることができた彼は、嬉しそうに廊下を歩く。

しかし、テイトの身体は突然、側の暗がりへと引き込まれた。

驚いて何事かが起きたのかと確認する前に、唇に熱いものが触れた。
抵抗しようとするテイトを、引きずり込んだ何かは易々と押さえ込み、更に口付けを深くする。
息苦しくなったところで、テイトはようやく解放された。
「…充電完了」
「………ふ、らう?」
激しさに目眩するものの、暗がりに慣れた目に映ったのは、自分がよく知る、金色の髪をした司教の青年。
フラウは意地悪く笑うと、2人を繋ぐ糸を拭うように軽くキスをした。
「試験勉強、頑張れよ。クソガキ」
耳元で低く囁きを残し、最後にテイトの唇をぺろりと舐めると、フラウは暗がりから光の中へと去っていった。
(………何だよ、今の通り魔的犯行は)
残されたテイトは、ずるずるとしゃがみこむ。
「ってか、この顔でどうやってミカゲとハクレンのとこ帰れ、ってんだ。あのエロ司教っ」
おそらく真っ赤であろう顔を膝の間に埋めて、テイトはしばらくそうやっていた。

拍手再録。7Gでフラテイでした。フラウは結構エロいと思うのは、私だけの気のせいなんでしょうか…;
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