昼も過ぎた頃、猿飛アスマは任務のために、本日の10班集合場所であるアカデミー前にやってきた。
しっかりと受付で任務を受け取り、下忍たちの方へと向かう。
ところが、そこにいたのは…たった一人。
「あ、おはようアスマ」
もうこんにちはの時間だっけ、と首を傾げるチョウジ。思わずきょろきょろと周りを見渡し、2人がいないことを確認する。
「チョウジ。イノとシカマルはどうした?」
「あの二人なら、任務で里の外」
「はぁっ?!今日の任務は中だぞ?」
「だから、任務。裏の」
暗部の任務だと言われ、一応納得はするが、おかしいと思い始める。
あの2人が下忍の任務に影分身も置かず、暗部の任務に行くとは思えないのだ。
「どこへ行ったか、知ってるか?」
「波の国だよ」
「波?隣の国か…」
「あ。2人はしばらく帰らないから、僕一人だけだよ」
さりげなく言われた内容にしばし絶句。そして…
「なに〜っっ?!」
アスマの大絶叫に、チョウジは思わずお菓子を食べる手を止めて耳を塞いだ。
「どういうことだ?!あっちのなら一日で帰ってこられるだろうがっ」
「だって2人とも、『下忍』で行ったから」
「や、暗部のだから、暗部で行くんじゃないのか?」
「ううん。7班の任務が一週間ほどかかりそうだから、任務ついでにくっついていったんだよ」
(7班……ナルトかっ…あいつらぁっ子供の遠足じゃねぇんだぞ!)
彼らが何を考えてるのかわかってしまったアスマは、急に痛くなった頭を抱えて唸る。
それをしばらく見たチョウジは、ぽんとアスマの肩を叩く。
「諦めなよ、アスマ。あの2人はナルトに関してだ・け、過保護になるんだから」
ナルトと火影様の許可はとってあるし、しばらくは僕と一緒にやろう。
そう慰めるチョウジは、自分のお菓子を一つアスマに差し出した。
それを口に運ぶも、アスマは納得いかない顔をする。
「しかし、いいのか?こんなんでよぉ」
「いいんだよ。それとも、アスマはナルト禁断症の出た2人と仲良く任務できる?怖いよ。すっごく」
「…………無理、だ;」
短い付き合いではあるが、彼らのナルトに対する執着ぶりはわかっているつもりだ。しかもあの2人は確実に、自分より強い。
「仕方ない。俺たちだけで行くか」
「うん。僕、早めに終わるようがんばるから」
「チョウジはいいやつだよなぁ」
「けど、帰りに焼肉おごってね」
「げっ?!またかっ」
チョウジの底なしの食欲に、アスマは諦めのため息を一つついた。
そして、2人となった10班の任務をしにアカデミーから離れていった。
間奏
〜あとがき〜
その頃のアスマさんとチョウジ。しばらくは2人で任務をする羽目になります。
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