最初に逢ったのはいつの頃だろう
決して交わることのないひと
なのに、お互いのことはすぐに理解できた
思えば『彼』は初めから驚くほど私に似ていたからだろう
時々会えば話をして
私は『彼』に、『彼』は私に、様々なことを教えあった
それは誰も知らない秘密の逢瀬
そこにあったのは純粋なる好奇心
私が『私』でいられる唯一の場
…神の気まぐれか それとも悪魔の罠か
知るものなど 誰もいない
回り始めた歯車の夢
もうすぐだ。もうすぐ念願の研究が完成する…!!
東京にある国立図書館の1番奥にある第3書庫。そこには古今東西古い文献がそろっているが、普段職員でさえ使うことはないので、別名・開かずの書庫と呼ばれている。
そんな中に座り込んでいた私は手早く自分の荷物を片付けると、3日間慣れ親しんだ薄暗い部屋を出ようと扉へと足を向けた。
私の心は舞い上がっていた。ここまで来るのに随分かかった。何度も式を組み立て、失敗し、それでもあきらめなかった。この研究だけは完成させなければいけないもの。これさえできれば、私は…!!
とにかくここから出ようと扉に手をかけ開け放った向こう側は閲覧室…ではなく、嵐のような惨状の自分の実験室だった。
「………ぁ、な、なにが」
「なによコレ!?」
振り向くと大切な幼馴染の姿がそこにあった。背にはリュック、腕には私の唯一の家族である金色の小柄な猫を抱えてドアの前で呆然としている。
「早くここから離れて!」
私は荒れ狂う風の中彼女にそういうが、彼女は聞こえてないのか「一体なにやらかしたのよ!」と言いながら部屋の中に入ってきた。一層風が強くなり、私たちを引き付ける。その中心には様々な色彩で彩られたブラックホール。その存在が目に入った途端引力はますます強くなり…
「…………………っ!!!」
ふわり、と音がしたような気がした。目に映るのは天井。
そして、次の瞬間フリーホールで急降下するような感覚が押し寄せてきた。
(……っきもち、わるい…!宇宙船に乗ったらっ、こんなきぶんっ、かも…っ)
そして、ブラックホールに引き込まれた。いろいろな色が、知らない人間達の感情が、交じり合って押し寄せてくる。体がイタイ。意識が薄れていく。体がバ ラ バ ラ に く だ け て
ふと、自分はどうなるのだ?巻き込まれた彼女は?そんな考えが頭をよぎった。
それに自分はまだ死ぬわけにはいかないのだ!ここでくたばることは、あの研究も彼女もそして、助言者である『彼』との約束も諦めることになる。そんなのは絶対にいやだ!!
その瞬間、光が見えた。白く輝くソレにどこか呼ばれてるような感覚を覚えて、無我夢中で光に手を伸ばした。
そして、ふいに覚醒した。
〜あとがき〜
将来、ウチのメイン作品となる(予定の)シリーズの始まりです。
夢小説とは少し違いますが、異世界で過ごす主人公とその他オールキャストの話です。
更新はゆったりまったりとしていきます。
キャラや設定はオリジナル入っきますが、気に入っていただければ幸いです。
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