机の上に置かれた色とりどりのちらしずしとひなあられ。
目の前には豪華な壇に飾られたきらびやかな人形たち。
「…っつーかいくらすんだろ」
「それ、聞いちゃ失礼ってものよ」
ここは里の名家・日向の和室の1つ。いのシカチョウJr.たちは今日ひなまつりパーティーに招待され、やってきていた。
「お待たせしました」
「ようこそいらっしゃいました。お三方」
襖をあけて奥から出てきたのは綺麗な着物を着たヒナタとハナビ。
「うわぁ。ヒナタもハナビちゃんもきれいね!」
「あ、ありがとう。…いのちゃんも、きれいだよ」
「よくお似合いです」
口々に褒めあう少女三人。本日の主役は彼女たちなので、シカマルたちは何も言えない。
「お待たせ。白酒用意できたぜ」
しばらくして、銚子と猪口を乗せた盆を持ってナルトがやってきた。後ろから付いてきたネジにいたってはジュースの瓶を重そうに抱えている。
「…大丈夫?」
「………あぁ」
「でも何でネジ先輩がソレ運んで来るんスか?」
「………………ウチの伝統、だ。多分;」
そう言ってネジは遠い目をした。よほどのことがあったのだろうか、とシカマルは思った。

その後、いのを綺麗だとナルトが褒めたことからいつもの喧嘩があったものの、できあがった料理をナルトとネジが全て運んできて、ささやかなパーティーは始まった。
「では、まずお姫様方に一献」
やけに慣れた手つきで、そっとヒナタたちの猪口に甘い白酒を注いでゆく。
「いのもどうぞ。」
「あ、ありがと」
少し照れながらお酌を受ける。注ぐナルトも笑顔なだけにシカマルの不機嫌度はかなりあがっている。
「どうした、シカ。そんなにすねた顔して」
「ほっといていいわよ。どうせお酌してもらえなかったのが悔しいだけだろうし」
「なんだ。それだけ?」
仕方ないとばかりに肩をすくめ、隣に座って注いでやる。
「はいよ。特別だからな」
「…わりぃ;」
言いながらも顔が緩んでいるので、ひとまず機嫌はよくなったようだ。
 全員に白酒が行き渡ると、乾杯の後は料理だ。さすが日向家のお抱え料理人の作ともあり、見た目からして食欲を誘う。チョウジなど早速ちらしずしを頬張っている。しかし……
「…ナル」
「ん?」
「なんでそこまでかいがいしく、いのたちの世話してるんだ?」
はまぐりのお吸い物の蓋を開ける、大皿のちらしずしを小皿にとって渡す、ジュースを注ぐetc.ナルトの行動はまさに尽くすと言ってもいいほど、普段以上に徹底したフェミニストぶりである。
「何言ってんだよ。今日はそういう日だろ」
「は?そーゆー日って…」
思わずシカマルは聞き返す。それに少し眉をひそめてナルトは言った。
「だーかーら、ひなまつりは女の人を崇めて奉仕する日だろ」
思わず手を止め、いのとシカマルは硬直した。
((ひなまつりってそんな行事だっけ…?!))
「な、なぁナル…そのひな…」
「そうね、ナルちゃん」
「その通りですよね」
…2人は耳を疑った。今、日向姉妹は何と言ったか。言い返そうとすると、姉妹揃って怖い笑顔を向けてくる。
シカマルは隣にいたネジを仰いだ。しかしネジは、
「そういうことだ…;」
と、一言返すだけであった。
 結局パーティーが終わってみて、それを楽しんでいたのは日向姉妹と給仕していたナルト、料理をあらかた食べ尽くし堪能したチョウジの4人であったことは言うまでもなかった。

ひなまつりSSとして書斎で公開してみた物。長すぎたので2日分にわけました。



午前5時過ぎ 霧幻の森のナルト邸にて
  バタンっ!
「!!…お、おはよ。ナル」
「……あぁ。おはよ。オレ寝るから、しばらく起こすな。」
「は?なんだよ、急に。今日は向こうの家で寝てたんじゃないのか?」
「何だか機嫌悪いね。どうしたの?」
「コレ見ればわかる(怒)おやすみ。」
「…行っちゃった。ところでコレって遠眼鏡の術しろってことかしら?」
「だろうな。水晶玉だし。覗くか。」
「…あ、映った…け、ど」
「これって…;」
「…カカシ上忍だな;黒焦げで伸びてる。」
「部屋に3回ほど襲撃あった形跡があるよ。」
「つまり、安眠妨害されて寝不足なのね。」
「………」
「どうしたの?シカマル」
「…あの変態上忍、どうしてやろうか…」
「(怖っ!!)…実験に使うなりなんなりしてちょうだい;」
「この間、おもしろい薬見つけてな。それ、試してくる。」
「「いってらっしゃーい;」」
「(見送ってから)じゃぁ、あたしはナルの隣でもう一眠りしよっと。」
「なら僕は皆の朝ごはん用意しておくね。」

下忍生活ある日の早朝の一コマ。
たまたまその日の朝、初午を知らせる近所の花火の音に睡眠妨害されたんで;



「そういやシカ。来週って何の日か覚えてる?」
「んあ。………ホワイトデーか。」
「今の間は何だよ。」
「気にすんなって。で、どうかしたか?」
「フッフッフvホワイトデーの鉄則って知ってる?」
「さぁ(嫌な予感…;)」
「返しは2倍、遅れたら3倍」
「………」
「あげたよな?」
「………;」
「期待、してるからね。シカv」
「………(泣)」

ホワイトデー前シカナルver.。
ナルトの料理はプロ級なので並のお返しは通用しません。さて、一体何を返したのか;



「サックラちゃーんv はい、コレ。お返しだってばよ」
「ありがと、ナルト。結構可愛いじゃない」
「「(サークーラーめっ!俺でさえもらってないのにっ)」」
「ナルトの班、いつも大変だよな。シノ、シカマル」
「む。」
「っつーか、俺ウチのいのの方がこえー;」
「もぐもぐ…そうだね。」
「……………(怒)」
「あ、いの」
「…なに?」
「これ。いのに、だってばよ(サクラより大きい包みを差し出す)」
『ナルトがいのに?!』
「…あ、ありがと」
「あら。あたしのより大きいじゃない」
「ちなみに中身は手作りのおかしだってば」
「ホント?!やった〜!!ナルトの手作りってすっごくおいしいのよね(うっとり)」
「喜んでもらえてよかった…ってばよ」
「ナールー!だーいすきv(抱きつく)」
「あっ!!」
「ふわっ」
「「(おのれ!山中いのっ!!俺のナルトなのに!)」」
「…おい、サスケとカカシが車輪眼発動しながらハンカチ噛んでるぞ;」
「放っときなさい…;そういえば、ヒナタはいいの?」
「えぇ。私はもう既に貰ってますから」
「……はやいのね;」

ホワイトデー1日送れ・いのナルver.をお送りしました。
合同任務でホワイトデーのお返しを。もちろんサクラといのへのお返しには違いがあります(手作りかそうじゃないか)。ヒナタは幼なじみ特権を生かして作りたてを貰いました;同じくネジもです。



「こんにちはー」
「あー、よぉ、ナルっ…」
「いらっしゃい、ナルちゃん!!」
「大丈夫か?バカ息子」
「…っつ〜!!」
「今日は女の子なのね。いつ見ても可愛いわ」
「本当にウチの娘にほしいくれぇだな」
「ありがとう、ヨシノさん。シカクのおっちゃん」
「…で、今日は一体何の用だ?」
「大丈夫か、シカ?…えっと、おはぎ作ったんでおすそ分けに。シカ食べるでしょ」
「ナルの手作りおはぎ…食う!ありがたく食わせてもら、っが!」
「シカっ?!」
「家族一同、喜んでいただくわ。ありがとう」
「ど、どーいたしまして;(大丈夫かな?肘がモロに顔に入ってたけど)」
「母ちゃんに勝とうなんて早ぇんだよ;そういや、何で今頃おはぎ作ったんだ?」
「ん?あぁ。秋(ナルトに封印された九尾の神狐)が食べたいから作れって。で、作ったら余ったんで、みんなに配ってるんだ」
「そ、そうか…」
「じゃあオレ、他にもおすそ分けに行くんで、これで。シカ、またな」
「また来てね」
シカマルを心配しつつも、にこやかに奈良家を後にするナルト。当主夫婦がお見送り。
「ところで、狐っておはぎ食えたっけ?」
「あんな娘ほしいわぁ。ってわけで、シカマル!山中さん家に負けんじゃないわよ!」
「………(気絶中)」
「母ちゃん、シカマル聞こえてねぇから;」

春分の日ということで、ナルちゃんにおはぎ作ってもらいました。
そして奈良家では、ヨシノさん(シカマルのお母さん)最強伝説が発覚!奈良家ではナルトは我が子以上に可愛がられてます。
息子が母に勝てる日は果たしていつだろうか?!(一生無理な気がしないでもない…;)



皆さんに「『春』といえば?」と聞いてみました。

・うちはサスケ君の場合
「春…花粉症。毎年ひどくて。いつか花粉をこの世から……っクシュ!!……あ〜、完全抹殺してやりたいっ」
…それは無理だと思います;

・山中いのさんの場合
「え、春?やっぱりお花見でしょ!お弁当もだけど、楽しみなのよね〜、ナルの舞♪」
やっぱり女の子らしいですね。

・秋道チョウジ君の場合
「たけのこごはん。あ、豆ご飯もいいよね。あとは桜あんぱんに、木苺シフォンに、えーと…」
ようするに食べものなら何でも、ですか;

・奈良シカマル君の場合
「…忙しい。仕事が増えるってのもあるけど、華にまとわりつく『虫』が多くなるからな。そいつらの撃退しなくちゃいけねーんだ」
華って…何か間違ってません?

・うずまきナルト君の場合
「春…花たちの世話だってば。チューリップとか咲くし、他のも植える時期だし。オレのウチは花いっぱいなんだってばよ!」
なかなか大変そうですね。がんばってください。

・はたけカカシの場合
「ちょっと!何で俺だけ呼び捨てなの?!…え、どうでもいいから春について話せ?そうだねぇ。…やっぱりサクラかな?いや、ウチの班の子の名じゃなくてね。桜をバックに愛しい人が赤い髪をなびかせて、ふっとこっちを振り向き、微笑みながら『カカシ、実はオレ、お前のことが…」
「人をつかって、にやにやと気色悪いアホなこと言うなあ!!(スッパーンっ)」
「…がふっ!」
見事なハリセンさばき(拍手) でもそれ鋼鉄製ですよね…?
「気にするな。コレくらいじゃヤツは死なん」
あ、そうですね。では緋月さんにとっての『春』は?
「もちろん、…桜。強いて言えば、花見かな。黒焔たちと一緒もいいんだが、酒を飲みながら一人で春の夜桜を眺める。もちろん、酒はおいしいのな。月夜に桜の下で、なんて風流じゃないか?」
いいですねぇ。そういう風流なの、大好きです。
「なら、今度一緒にどうだ?とっておきの1本を出してやるよ」
うわぁ、本当ですか!よろしければ、ぜひご一緒させてくださいっ!!
では、緋月さん。お忙しい中アンケートにご協力ありがとうございました!お仕事がんばってくださいね。
「いやいや。そっちこそご苦労様」
にっこり笑って去る緋月。その姿は爽やかで気品があり、モテるのも無理はなかった。

春についてのアンケート。みなさんに答えていただきましたが、いかがでしょうか。 書斎に掲載したものに加筆しました。